2023-12-12
相続人のなかに被相続人の生前に特別に貢献してきた方とそうでない方がいる場合、相続時に遺産分割で揉めるケースも少なくありません。
そこで、相続時に請求できる寄与分とはなにか、請求できる要件と特別寄与料について解説します。
群馬県伊勢崎市で不動産を相続する予定がある方は、ぜひ参考になさってください。
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相続では、法律で定められた法定相続分に従って遺産を分けることが一般的です。
しかし、相続人のなかに被相続人を献身的に介護してきた方とそうでない方がいると、法定相続分に従って遺産分割することに不満をもつ方もいるでしょう。
このような不公平な分割を解決する手段として用いられるのが「寄与分」です。
ここでは、まず寄与分とはどのような制度なのか、また寄与分が認められた際の遺産分割について解説します。
寄与分は、被相続人(亡くなった方)の生前に、相続財産の維持・増加に貢献した方が、相続分以上の財産を受け取れる制度です。
前述したように、通常は法定相続分どおりに遺産を分けます。
しかし、寝たきりとなった親を長年介護してきた場合や、親の事業を手伝い資産の増加に貢献してきたような場合は不満に思うでしょう。
そこで、そのような貢献をしていきた方には寄与分を認め、相続分以上の財産を受け取れる制度が設けられたのです。
ただし、寄与分は自らがほかの相続人に対して請求しなければなりません。
自動的に付与されるわけではないため注意しましょう。
また、寄与分は話し合いで認めてもらうのが一般的ですが、主張が通らない場合は家庭裁判所の調停・審判を利用することになります。
ほかの相続人に寄与分を主張し認められた場合は、以下のような流れで遺産分割の計算がおこなわれます。
ここからは具体的な例を出してご説明します。
仮に相続財産が3,500万円あり、相続人は長女と次女の2人と仮定しましょう。
このうち長女が親の財産の維持や増加に貢献してきたため、寄与分500万円を請求し認められたとします。
その場合は、まず相続財産の総額3,500万円から寄与分500万円を控除する必要があるため、法定相続分に従って分割する金額は「3,500万円-500万円=3,000万円」です。
この3,000万円を長女と次女の2人で2分の1ずつ分配するため、1人が1,500万円となります。
ここで、長女は寄与分500万円が上乗せされるため、長女は1,500万円+500万円=2,000万円を相続することになります。
一方で次女は法定相続分に従って分配した1,500万円が相続する財産です。
このように寄与分が認められた場合は、その分を差し引いてから相続人で遺産を分けることになります。
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次に、寄与分が認められる要件と時効について解説します。
寄与分を主張し受け取るためには、以下の5つの要件を満たしていなければなりません。
要件①相続人であること
まず1つ目の要件は、相続人であることが条件となります。
たとえば、相続人に該当しない親戚や友人などが事業の資金援助をしたからといって認められません。
ただし、相続人の配偶者などにおいては、貢献行為として認められる場合があります。
要件②相続財産の維持・増加に貢献していた
2つ目の要件は、介護や資金援助などが被相続人の財産の維持・増加につながっているかどうかです。
たとえば、24時間体制で看護や介護にあたっていたことにより、医療費を抑えることができた場合が該当します。
この場合は、できれば看護していた経過などがわかる日誌などを付けておくと主張しやすくなるでしょう。
要件③特別な貢献であること
3つ目は、扶養義務の範囲内ではなく特別な貢献をしていることが要件となっています。
これは、日常的な手伝いやサポートといった扶養義務の範囲内での介護ではなく、それ以上の特別な貢献であることが重要です。
ただし、特別な貢献といっても法律などで定められているわけではありません。
そのため、あくまでも相続人同士の話し合いで決めることになります。
要件④無償で貢献行為をおこなっていた
4つ目は、被相続人から対価などを受け取ることなく無償で貢献行為をおこなっていることが要件です。
被相続人の家業を手伝った際に、対価を受け取っていた場合は認められないため注意しましょう。
要件⑤一定期間以上貢献していた
5つ目は、介護や事業を一定期間以上おこなっていたかどうかです。
数日間のみ看護や介護をしたからといって認められないため注意しましょう。
ただし、一定期間以上といっても明確な定めはないため、相続人同士の話し合いで判断することになります。
寄与行為は、以下のような5つに分類されます。
上記の5つの型に分けられますが、いずれも無償で貢献していることが条件となります。
以前は寄与分の請求の時効はありませんでしたが、2023年4月1日の民法改正により「相続発生から10年以内」と期限が設けられるようになりました。
10年以上経過すると時効により法定相続分に従って分けることになるため注意しましょう。
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2019年の民法改正により、新しく「特別寄与料」が追加されました。
この制度が設けられたことにより、公平な相続財産を受け取れるようになりました。
特別寄与料とは、相続人以外の親族などが被相続人に特別な貢献をおこなっていた場合に、その貢献に応じて金銭を受け取れる制度のことです。
今まで相続人のみにしか認められなかった寄与分を、相続人の配偶者や親族なども認められるようになりました。
たとえば、被相続人(親)を長年介護してきたのは、相続人(子)である長男の嫁といった場合です。
この長男の嫁は長男の親が亡くなっても相続人には該当しません。
そのため、以前は相続人でないことを満たしていなかったため、寄与分が認められませんでした。
しかし、相続人以外の親族が貢献していた場合は、特別寄与料として相続財産の一分を受け取れることになったのです。
ただし、相続人以外といっても6親等内の血族と3親等内の姻族に限られます。
そのため、内縁の妻や知人、友人などは認められないため注意しましょう。
特別寄与料は、申請できる期間が決まっているため注意が必要です。
期間は「相続開始および相続人を知ったときから6か月」もしくは「相続開始時から1年以内」となります。
それ以後は、請求できないため早めに主張することが大切です。
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被相続人の生前に、一定期間以上献身的なサポートを対価なしで続けてきた場合、寄与分を主張できる可能性があります。
また、相続人以外の親族でも特別寄与料として受け取れることがあります。
それぞれ請求する期限が決まっているため、請求する場合は早めに相続人と話し合うことが大切です。
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