相続時精算課税制度とは?税金の計算方法や注意点を解説

2023-07-18

相続時精算課税制度とは?税金の計算方法や注意点を解説

この記事のハイライト
●贈与税が2,500万円まで非課税になる制度を相続時精算課税制度という
●贈与を受けた分と相続財産の総額が基礎控除額を超えると相続税がかかる
●相続時精算課税制度を利用したからといって必ずしも節税になるとは限らない

子どもや孫に財産を相続する場合、要件を満たせば「相続時精算課税制度」を利用できます。
相続時精算課税制度を上手に活用して相続税を減額するには、注意点も理解しておくことが重要です。
そこで今回は、相続時精算課税制度の概要と税金の計算方法、注意点を解説します。
群馬県伊勢崎市で相続をご検討中の方または相続される方は、ぜひ最後までご覧ください。

\お気軽にご相談ください!/

相続時精算課税制度とはどのような制度?

相続時精算課税制度とはどのような制度?

はじめに、相続時精算課税制度がどのような制度なのかを解説します。

制度の概要

相続時精算課税制度とは、孫や子どもが父母や祖父母から贈与を受けた際に、2,500万円まで贈与税が非課税となる制度です。
2,500万円を超える金額の贈与を受けたとしても、超えた部分に対して一律20%の贈与税を納付すれば済みます。
ただし贈与者が亡くなり相続が発生した際は、生前贈与された財産も遺産に含めた上で相続税を計算しなければなりません。
たとえば、財産6,000万円のうち1,000万円を生前贈与したとしましょう。
この制度を利用すると、2,500万円までは贈与税がかからないため、1,000万円も非課税となります。
しかし相続が発生した際は、残りの5,000万円と過去に贈与した1,000万円を足した6,000万円に対して、相続税が課されます。
つまりこの制度は、税金を免除するという制度ではなく、税金を先送りにして相続時に課税する制度と考えておきましょう。

制度の適用対象者

相続時精算課税制度を利用するには、贈与者(贈与した側)と受贈者(贈与を受けた側)がそれぞれ次の要件を満たす必要があります。

  • 贈与者の要件:贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母であること
  • 受贈者の要件:贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)であること

贈与財産については、種類や金額、贈与回数などに決まりはありません。

手続き方法

相続時精算課税制度を利用するには、税務署に「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。
その際は、贈与税の申告書と以下のような添付書類も必要です。

  • 受贈者の戸籍謄本または戸籍抄本
  • 受贈者の戸籍の附票
  • 贈与者の住民票又は戸籍の附票

提出期限は「贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日まで」と決まっているためご注意ください。

▼この記事も読まれています
相続における換価分割のメリットとデメリット!発生する税金も解説

\お気軽にご相談ください!/

相続時精算課税制度における税金の計算方法とは?

相続時精算課税制度における税金の計算方法とは?

続いて、相続時精算課税制度を利用した際の贈与税および相続税の計算方法を解説します。

贈与税の計算方法

相続時精算課税制度を適用すると、贈与税が2,500万円まで非課税となり、超えた部分には一律20%の税率がかかります。
贈与税の金額はを求める計算式は以下のとおりです。
贈与税=(贈与財産の総額-2,500万円)×20%
たとえば、贈与した財産の総額が5,000万円の場合、贈与税は「(5,000万円-2,500万円)×20%=500万円」です。

相続税の計算方法

続いて、相続税の計算方法を確認していきましょう。
財産を相続したからといって、必ずしもすべての方に相続税が課されるわけではありません。
相続税には基礎控除が設けられており、基礎控除以下であれば相続税は発生しないためです。
そのため、まずは基礎控除がいくらになるのかを計算する必要があります。
基礎控除額は法定相続人の数によって異なり、以下の計算式で求められます。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
たとえば、法定相続人が2人いる場合、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円」です。
この場合、先送りしていた贈与額と財産総額の合計が4,200万円以下であれば、贈与税はかかりません。

相続税のシミュレーション

具体例を用いて、相続時精算課税制度を利用した場合の相続税をシミュレーションしてみましょう。
法定相続人は受贈者のみとし、生前贈与として1,000万円を受け取っており、相続発生により3,000万円の相続財産があったとします。
このケースにおける相続税の課税対象は、贈与分と相続財産を合計した4,000万円です。
次に基礎控除額を求めますが、今回は相続人1人と仮定しているため、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×1人)=3,600万円」です。
相続税の課税対象4,000万円から基礎控除額3,600万円を引くと400万円なので、このケースでは400万円に対して相続税が課されます。
この400万円に税率をかけると相続税額を計算できますが、税率は法定相続分に応ずる取得金額によって異なる点に注意が必要です。

  • 取得金額が1,000万円以下:税率 10%・控除額 なし
  • 取得金額が3,000万円以下:税率 15%・控除額 50万円
  • 取得金額が5,000万円以下:税率 20%・控除額 200万円
  • 取得金額が1億円以下:税率 30%・控除額 700万円

今回のケースは1,000万円以下に該当するため、相続税は「400万円×10%=40万円」となります。

▼この記事も読まれています
相続登記にかかる費用は経費にできる?注意点も解説

\お気軽にご相談ください!/

相続時精算課税制度を適用する際の注意点とは

相続時精算課税制度を適用する際の注意点とは

最後に、相続時精算課税制度を利用する際に注意したいポイントを解説します。

必ずしも節税になるとは限らない

先述したように、相続時精算課税制度は税金が免除されるわけでなく、あくまでも税金の先送りが目的です。
相続開始時には贈与分すべてを相続財産に足して相続税を計算するため、直接節税になるわけではありません。
状況次第では節税に繋げることもできますが、必ずしも納税額が減るわけではないことを理解しておきましょう。
相続時精算課税制度を使った税金対策は専門知識が必要になることも多いです。
損をしないためにも、税理士に相談したうえで制度を利用するかどうか判断することをおすすめします。

相続税の物納には使えない

納税には、お金の代わりに相続した物(不動産など)で税金を収める「物納」という制度があります。
しかし、相続時精算課税制度を使って生前贈与を受けた財産については、物納ができません。
相続税の課税対象には、現金や預金だけでなく、土地や建物なども含まれます。
贈与を受けたものの、相続で引き継いだ財産よりも相続税のほうが高く、税金が支払えないというケースは少なくありません。
贈与をおこなう際は、相続時の税金についてもしっかり考えておく必要があります。

亡くなる直前に贈与しない

被相続人が亡くなる3年以内に贈与をおこなっていた場合、その贈与額を相続財産に含めたうえで相続税を計算しなければなりません。
これを「生前贈与加算」といいます。
生前贈与加算の対象にならないためには、亡くなる直前に贈与しないことが重要です。
なお、令和6年1月1日以降の贈与については、3年以内から「7年以内」へ延長されることとなっています。
被相続人が亡くなる前3年超え7年以内に贈与した財産は、合計額から100万円を控除することが可能です。
これらの注意点を踏まえたうえで、生前贈与をするかどうか検討すると良いでしょう。

▼この記事も読まれています
数次相続とは?不動産を数次相続するときの注意点や手続き方法を解説

まとめ

相続時精算課税制度を利用すると、贈与税を最大2,500万円まで非課税にすることができます。
ただし相続が開始した際は、贈与した財産分をすべて相続財産に加算して相続税を計算しなければなりません。
必ずしも節税になるとは限らないため、税理士に相談したうえで制度を利用するかどうか判断すると良いでしょう。
伊勢崎市の不動産売却なら「株式会社みらい」へ。
不動産買取もおこなっており、不動産コンサルマスターと不動産のプロフェッショナルがお客様をトータルサポートいたします。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

ブログ一覧ページへもどる

まずはご相談ください!

0270-61-6315

営業時間
9:30~19:00
定休日
年中無休

売却査定

お問い合わせ