2026-08-25

長年連れ添った配偶者へご自身が所有する不動産を残したいものの、将来的な相続手続きや税金についてどのようにおこなうべきか、お悩みではありませんか。
相続対策を先延ばしにしてしまうと、いざという時に多額の税金が発生したり、残されたご家族の間で予期せぬトラブルが生じたりするリスクが高まってしまいます。
本記事では、配偶者への不動産贈与にかかる税負担を軽減できる「おしどり贈与」とはどのような制度なのか、適用要件やメリット・デメリットについて解説いたします。
将来を見据えて、ご自身の資産をご家族へスムーズに引き継ぎたいとご検討中の方は、ぜひご参考になさってくださいね。
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おしどり贈与を理解するうえで、まず押さえるべきポイントには、主に配偶者控除の仕組みがあります。
まずは、おしどり贈与の基本的な内容について解説していきます。
おしどり贈与とは、正式には「贈与税の配偶者控除の特例」と呼ばれる、夫婦間の贈与に使える制度です。
婚姻期間などの条件を満たせば、自宅や自宅を購入するための資金を配偶者へ生前に渡す際、贈与税の負担を軽くできます。
なお、夫婦間でも財産を無償で移すと、原則として贈与税の対象です。
この制度には、長年ともに暮らした配偶者の住まいを守り、生活基盤を安定させる役割があります。
そのため、不動産の名義を変える前に、対象範囲や税金の仕組みを夫婦で確認しておくことが大切です。
通常の贈与では、1年間に受け取った財産の合計額から、基礎控除として110万円を差し引けます。
さらに、おしどり贈与の要件を満たす場合は、最高2,000万円の配偶者控除を上乗せできる仕組みです。
つまり、合計で最大2,110万円まで、居住用不動産やその購入資金を贈与税の計算から控除できます。
たとえば、2,000万円相当の自宅持ち分を贈与しても、適用条件を満たせば贈与税がかからない可能性があります。
ただし、控除額だけで判断せず、贈与税の計算上の評価額や持ち分割合を確認しながら贈与内容を決めましょう。
おしどり贈与を活用すると、自宅の全部または一部を生前に配偶者名義へ移し、将来の住まいを確保しやすくなります。
また、相続発生後に自宅の扱いを一から話し合う必要が減り、遺産分割を進めやすくなる点もメリットです。
婚姻期間20年以上の夫婦間で自宅を贈与した場合、特別受益の持ち戻しを免除する意思があったと法律上推定されます。
特別受益とは、生前贈与を相続分に反映し、相続人同士の公平を調整する考え方です。
そのため、税負担だけでなく、配偶者の生活と家族間の円滑な相続を見据えた対策として検討できます。
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前章では制度の概要や控除について述べましたが、ご自身が実際に適用できるか気になりますよね。
ここでは、おしどり贈与を利用するための要件について解説します。
1つ目の要件は、贈与した時点で、夫婦の婚姻期間が20年以上あることです。
婚姻期間は婚姻届が受理された日から数えるため、長く同居していても事実婚の期間は原則として含まれません。
なお、同じ相手と離婚後に再婚した場合は、前後の婚姻期間を合算できるため、戸籍で正確に確認しましょう。
申告時には、贈与を受けた日以降に発行された戸籍謄本や戸籍抄本などが必要です。
また、この特例を同じ配偶者との間で利用できるのは一生に1回のみなので、過去の適用状況も確かめておく必要があります。
2つ目の要件は、贈与の対象が国内の居住用不動産、またはその取得資金であることです。
居住用不動産には、生活の拠点となる家屋とその敷地が含まれますが、賃貸物件や別荘は原則として対象外です。
また、土地だけを贈与する場合は、その上の家屋を配偶者または同居親族が所有している必要があります。
さらに、贈与を受けた翌年3月15日までに入居し、その後も住み続ける見込みがあることが求められます。
そのため、購入資金を贈与する場合は、完成時期や引っ越し日を申告期限から逆算して計画しましょう。
まず、夫婦で贈与する不動産や持ち分を決め、日付や金額を記載した贈与契約書を作成します。
不動産そのものを贈与する場合は、法務局で所有権移転登記をおこない、名義を正式に変更する流れです。
その後、戸籍の附票の写しや登記事項証明書など、申告に必要な書類をそろえます。
そして、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに、住所地を管轄する税務署へ申告書を提出しましょう。
なお、控除によって税額が0円になる場合でも申告は必要なため、不安があれば税理士や司法書士へ早めに相談すると安心です。
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ここまで適用に必要な条件などを解説しましたが、制度を利用するうえでの注意点もおさえておきましょう。
最後に、おしどり贈与を活用するメリットとデメリットについて解説していきます。
おしどり贈与の主なメリットは、贈与税を抑えながら、配偶者の住まいを生前に確保できることです。
あらかじめ所有権を移しておけば、相続発生後の話し合いを待たず、自宅の帰属を明確にできます。
また、この特例による配偶者控除の2,000万円部分は、相続開始前の一定期間におこなわれた贈与を相続財産へ加える生前贈与加算の対象外です。
ただし、相続税にも配偶者の税額軽減があるため、生前贈与が必ず有利とは限りません。
そのため、相続財産の総額や家族構成も確認し、将来の手続きまで見通して利用を判断しましょう。
おしどり贈与で贈与税を抑えられても、不動産の名義変更には別の税金や費用がかかります。
たとえば、所有権移転登記にかかる登録免許税は、相続では固定資産税評価額の0.4%ですが、贈与では原則2.0%です。
さらに、不動産を取得した配偶者には、不動産取得税が課される場合もあります。
土地や住宅の条件によって軽減措置を受けられる可能性はあるものの、適用の可否は事前確認が欠かせません。
また、司法書士へ登記を依頼する報酬も必要になるため、贈与税だけでなく諸費用を含めた総額で比較しましょう。
贈与後は配偶者が不動産の名義人となるため、売却や担保設定などの手続きには本人の意思確認が必要です。
たとえば、介護施設への入居を機に自宅を売りたい場合でも、贈与した側だけの判断では進められません。
また、配偶者の判断能力が低下していると、成年後見制度などを利用しなければならない可能性があります。
共有名義にする場合は、売却や修繕の判断で意見が分かれないよう、持ち分割合や管理方法を決めておきましょう。
そのため、現在の節税効果だけでなく、老後資金や将来の住み替え、家族関係まで含めて検討することが大切です。
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おしどり贈与とは、婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与する際に最大2110万円まで控除される制度であり、将来の円滑な相続に向けた生前対策としても有効です。
制度を利用するためには、20年以上の婚姻期間があること、国内の居住用不動産や取得資金であること、翌年の期限内に税務署へ申告するという3つの要件をすべて満たす必要があります。
早期に住まいを確保でき相続財産も減らせる利点がある半面、登録免許税などの追加費用や将来的な財産管理の負担も考慮し、家族の状況に合わせた無理のない形で進めると良いでしょう。
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