2023-04-25
根抵当権という不動産用語をご存じですか?
基本的に事業を営んでいる方が利用する権利なので、事業者でなければ耳馴染みがないかもしれません。
しかし、思いがけず根抵当権がついた不動産を相続するケースがあります。
一般的な抵当権と根抵当権では相続の手続きが異なるので注意が必要です。
そこで今回は、根抵当権のついた不動産を相続する流れについて解説します。
群馬県伊勢崎市で根抵当権のついた不動産を相続する予定がある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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「抵当権」は、住宅ローンを利用して不動産を購入したことがある方には馴染みのある言葉なのではないでしょうか。
抵当権とは、住宅ローンの債権者である金融機関が、不動産に対して設定する権利です。
もし返済ができない状況になってしまった場合、金融機関は不動産を差し押さえて競売にかけ、残債の回収にあてることができます。
では、「根抵当権」とはどのような権利なのでしょうか。
根抵当権とは、一般の方が住宅ローンを組む際に利用する抵当権とは違い、主に企業が事業の運転資金などを確保するために利用する制度です。
根抵当権の特徴1:何度でも借り入れができる
根抵当権では、最初に不動産の担保としての価値を算出し、それをもとに借り入れの「限度額」が設定されます。
その範囲内であれば何度でも借り入れや返済が自由にできる点が、根抵当権の大きな特徴です。
根抵当権の特徴2:登記手続きを省略できる
個人の場合、住宅を購入する際などに住宅ローンを組むことはあっても、融資を受ける機会はあまり多くありません。
住宅ローンを利用する際に設定する抵当権は返済が完了した時点で消滅してしまうため、次に借り入れをする際には新たに抵当権の設定が必要です。
一方、企業の場合は運転資金を確保するため、必要に応じて何度も融資を受けることになります。
その際、根抵当権を利用していれば、限度額の範囲内で何度でも借り入れができ、借り入れごとに登記をしなおす必要はありません。
定期的に融資を受けたいと考える企業にとって、手間の省ける便利な制度だといえるでしょう。
元本確定とは、根抵当権の設定をやめる際におこなう手続きです。
借り入れと返済を終了し、その時点での借り入れ額を「借入金」として確定させます。
元本確定のあとは新たな借り入れができず、一般的な抵当権と同じ扱いになると考えておきましょう。
事業主でない限りあまり関わりのない根抵当権ですが、根抵当権が設定された不動産を相続するケースがあります。
その際は、相続手続きの期限に注意してください。
そのまま根抵当権を利用する場合:6か月以内に手続きをする
元本確定の事由の1つに、「根抵当権者や債務者の相続開始から6か月以内に相続人を定める合意の登記をしなかった場合」という項目があります。
これは、相続が開始されてから6か月以内に新たな債務者を決めなければ、元本確定がおこなわれて根抵当権が利用できなくなるという意味です。
そのため、相続した根抵当権をそのまま引き続き利用したいと考えている方は、相続の開始から6か月以内に手続きを進めてください。
手続きをせずに6か月がすぎると、根抵当権は一般的な抵当権になります。
相続放棄する場合:3か月以内に手続きをする
相続する不動産の債務が多く、相続放棄を検討するケースもあります。
その場合は、相続の開始から3か月以内に相続放棄の手続きが必要です。
根抵当権をそのまま引き継ぐケースよりも期限が短いので注意してください。
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被相続人の事業を相続人がそのまま引き継ぐのであれば、根抵当権が設定されたままの状態で不動産を相続することになります。
相続した不動産の所有者と、根抵当権の債務者が同じ場合、複雑な手続きはほとんどありません。
相続した不動産の所有者名義を変更する「相続登記」をおこない、根抵当権の債務者名義を変更する「指定債務者登記」をおこなえば完了です。
根抵当権を相続したものの、不動産の所有者は別にいるというケースがあります。
その場合、不動産の名義変更はおこなわず、根抵当権の指定債務者登記を進めましょう。
指定債務者は債務を相続した方と根抵当権者で決定しますが、指定債務者登記の手続きは不動産の所有者と根抵当権社でおこなう必要があります。
続いて、根抵当権が設定された不動産をそのまま相続する流れについて見ていきましょう。
1:金融機関に連絡をする
債権者である金融機関に、相続が開始された旨を連絡をします。
根抵当権の相続に関する手続きには債権者が発行した書類が必要になるため、手配を進めましょう。
2:遺産分割協議をおこなう
相続人が複数いる場合は、相続人全員で協議をおこない、不動産を誰が相続するのかについて決めます。
被相続人が経営していた事業を相続人の誰かがそのまま相続するのであれば、根抵当権が設定された不動産についてもその相続人が引き継ぐケースが一般的です。
不動産の所有者と債務者が異なっていた場合も、相続を機に名義を一本化しておくことをおすすめします。
3:相続のための登記手続きをする
根抵当権が設定された不動産を相続する際には、「債務者変更登記」「指定債務者の合意の登記」が必要です。
その際、指定債務者に登記された相続人だけが債務を相続するとは限りません。
遺産分割協議で決定した相続人が複数いる場合は、その全員に債務が分割されます。
また、不動産の所有者が変わる場合は、所有権移転登記も忘れずにおこないましょう。
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根抵当権が設定された不動産をそのまま相続するつもりがない場合、債務を返済して根抵当権を抹消する必要があります。
不動産の売却価格が債務を上回りそうなのであれば、不動産を売却して債務を完済すれば根抵当権の抹消は完了です。
しかし、不動産を売却しても債務を返済できない場合は、相続の放棄についても検討してみましょう。
一方、債務が残っていないケースでは、債権者である金融機関の合意を得られれば根抵当権を抹消できます。
根抵当権を抹消すれば不動産を売却できるので、相続人が複数いる場合などは、売却してから現金で財産を分割することも可能です。
事業者でない限り、根抵当権が設定された不動産を所有しているメリットはほとんどありません。
そのため、相続時に根抵当権の抹消登記を済ませておくことをおすすめします。
抹消登記には、債権者である金融機関の合意が不可欠です。
根抵当権は一般的な抵当権よりも借り入れ額が大きいケースが多いため、交渉が難航することもあります。
金融機関の合意が得られなければ抹消登記に必要な書類も入手できません。
金融機関への相談は慎重に進めましょう。
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事業をしている方にとって、根抵当権は運営資金を調達するための魅力的な方法の1つです。
しかし、事業と無関係の方の場合、根抵当権が設定された不動産をそのまま相続するメリットはあまりありません。
相続した不動産を売却する際にも、まずは根抵当権の抹消が必要です。
相続が発生した際には、ご自身にとってメリットが多い活用方法を検討してみてください。
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